みなさん、こんにちは!
水道橋コンタクトセンターのK.TATSUROです。

弊社ではメールアドレスをお預かりさせていただいたお客様限定で、
メールマガジンを発行しています。

そこでは、
・コンタクトセンター運営ノウハウ
・心理学を活用した仕事術
・生々しい現場(笑)
について、月1回情報をお送りしています。

今回は過去のメルマガから、反響を多くいただいた記事を
ご紹介させていただきます。

~~~~~~ 記事 ハイライト ~~~~~~

・ KPIが未達成のとき
・ 目標未達成とパーキンソンの法則
・ 急成長している大手通販会社の事例
・ 人は測定できないものは管理できない

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KPIが未達成のとき 

コンタクトセンター現場では、「KPI」という言葉が毎日飛び交います。
KPI(Key Performance Indicator)とは、重要業績評価指標、のことです。
具体的には、目標達成への進捗を定点観測することです。

例えば、インバウンドでのUPセル率「目標40%」について、

 ・本日のUPセル率、35%
 ・今週のUPセル率、45%

などを比較しながら、日々の行動管理に焦点をあて、対策を実行します。

コンタクトセンターのパフォーマンスは、優秀な管理者(以下SV)が育っているかに左右されます。
優秀なSVは、原因の特定に間違いが少なく、またそこからの対策も徹底的に行っています。

UPセル率が未達の場合、
 < 原因 >
 ・トークスクリプト内容
 ・マドンナの接客スキル
 ・オファー設計 など。

 ※マドンナとは、弊社オペレーターの呼称です。
 ※オファーとは、お客様への提案です。(例:定期コース初回30%オフ、等)

 < 対策 >
 ・スクリプトの改善
 ・マドンナへの研修
 ・オファー変更の提案  など。

このように、KPI管理から対策までの取り組みは、
コンタクトセンターごとに大きな差はないと感じています。

なのになぜ、目標達成できるチームと、そうでないチームが生まれてしまうのでしょうか?

目標未達成とパーキンソンの法則 

「成功はアート、失敗はサイエンス」という言葉もあるように、
目標未達成(作戦失敗)においては、ロジカルに原因を特定すべきです。

お恥ずかしい話ですが、チームが目標未達に陥っているとき、SVに原因を聞くと、
「日々やることが多すぎて、改善アクションが徹底できませんでした。すみません。
 人を増やしてもらえないですか?」と言われたことがあります。

たしかにコンタクトセンターの現場はどこも忙しいです。
しかしながら、ここで冷静に、一つ頭に入れておきたい考えがあります。

有名な「パーキンソンの法則」です。
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 仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する。
 時間や人がいれば、それを使い切るまで仕事が増え続けることになるのが、組織の宿命というわけです。 

 出典:ビジネススキル図鑑 堀公俊著
 https://www.amazon.co.jp/dp/4532324130
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無意識に、

 ・後回しにしてしまったこと
 ・会議の終了時間まで決断しないこと
 ・何度も確認してしまうこと

このような、ちょっとした行動の積み重ねが、ジワジワとSVの時間を奪っていきます。
目標達成できなかった原因を深掘りしていくと、「わかっているけど、時間が足りなかった」
というシンプルな理由も少なくなかったです。

そのようなとき、マネジメントとして、

 ・仕事内容の可視化
 ・仕事時間の計測

をまず最初に行うことをおススメします。

急成長している大手通販会社の事例 

具体的には、可視化するために、

 1、職務定義書を使った面談
 2、1日、1週間でやった仕事の時間記録
 3、マンマーク

などを行っていました。

職務定義書(1)とは、職種ごとに、

 ・応対品質指導(SV)
 ・稼働計画作成(SV)
 ・受電対応(マドンナ)
 ・メール対応(マドンナ)

など、仕事内容が羅列されたものです。

これを見ながら面談を行うと、俗人化している仕事や、内容の偏りに気づくことができます。
仕事の時間記録(2)とは、1日の中でやった仕事をできるだけ細かく記載してもらいます。

 ・稼働計画作成(0.25)
 ・採用MTG(1.25)
 ・シフト調整(0.50)
 ・現場で品質指導(1.00)

など、15分単位(0.25単位)で記録してもらいます。
チームで1週間くらい続けてみると、時間がかかりすぎている仕事だったり、
同じ仕事を他のメンバーもやっていたり(ダブり)など、発見があります。

そこから仕事の交通整理ができます。
実際、ここ数年で急成長している、とある国内の大手通販会社でも、
SVの仕事量がシステムで可視化されていました。

そこではセンター長が、システムを見ながら、
「Aさんは、今日仕事が溢れているから、少し余裕のあるBさんにこの仕事渡せるかな?」
と、コミュニケーションを取られていました。

人は測定できないものは管理できない 

ところが、それでも上手くいかないこと、ありました。
面談したり時間記録を行ってみても、
「忙しすぎて、細かい仕事が多すぎて、記録すらできませぇん!」
と言われたこともありました。

しかし、「人は測定できないものは管理できない」といった、
ドラッカー先生の有名な言葉があります。
時間や数字で把握することをあきらめてはいけません。

最後の手段としては、マンマーク(3)です。
SVの横に座り、ベッタリと一緒に仕事します。
横で仕事していると、細かな発見がたくさんあります。

 ・電話対応の頻度が多い。
 ・メール文面に悩んでいる時間が長い。
 ・稼働計画をよく見ているが、眺めて妄想に耽っていた(笑)  など。

このベッタリマンマークしてみると、まだまだ教えられていなかったことがあったと、
私自身、反省する機会が多かったです。

これら「1→2」、ときには「3」を実行してSVのパフォーマンスを引き出すことが、
センター長やセンターマネージャーの役割です。

「そんなに細かく管理しなくても」というお声、あるかもしれません。
常に管理し続けることは、相手の主体性や創造性をつぶしてしまうので、私も反対です。

ただし今回のように目標未達成など、チームが上手くいっていない場面では、
細かく管理する支援が必要だと考えています。
また、ここまでやってみて初めて「SVの人数が足りない」という判断もできます。

やみくもに人を増やす採用を続けると、

 ・新人への教える時間の増加。
 ・コミュニケーション時間の増加。

となるため、現場がさらに忙しくなってしまう逆効果もあるためです。

この手法は、コンタクトセンターに限らず、あらゆるチームに当てはまると考えています。
チームが目標未達に陥ったときこそ、マネージャーは改めて、
メンバー各自の仕事の棚卸しに取り組まれてみるのはいかがでしょうか。